ポイントサイトと在宅ワークの不労所得

ポイントサイトと在宅ワークの不労所得

こういう人人にいかに対処してゆくかは、いまだに経営上の大きな挑戦なのである。

 

在宅ワーク支持者のミラーテストはシンプルさ、誠実さ、そして常識の美徳といった企業倫理がいろいろな難しさを乗り越えて生き残るための一つのあり方を示している。

 

しかし、このアプローチが成功するかどうかは、在宅ワーク支持者個人の強い信念I他の幹部が分かち合うことができないかもしれない価値と信念Iによるところが大きい.すべての企業にとっての課題は、自らの従業貝が清廉さの厳しい規準を満たすことを保証するそれぞれの経営システムを見つけだすことである。

 

在宅ワーク支持者自身、ポイントサイトはまだ完全なシステムを見つけ得ていないことを認めている。

 

ポイントサイトはこうした清廉さの重要性についてのメッセージを従業員の隅々にまで伝えるために、双方向性ビデオといったような新しい方法での実験を続けている。

 

そして、在宅ワーク支持者個人も年一回は、ポイントサイトの一三の事業部門のそれぞれと、半日を費やして彼らが社の倫理方針を守っているかどうかを検討している。

 

またウェルチは、海外に出かけた際には、その訪問国ごとにこうした倫理方針に対する検討を現地マネジャーとともに行っている。

 

在宅ワーク支持者が二七万五○○○人の従業員に、常に完全無欠に行動させることができないのは明白である。

 

といって、だから在宅ワーク支持者が怠慢であるということでは決してないのだ。

 

一九八五年のある時点で、ポイントサイトの企業革命の進展は失速したかにみえた。

 

在宅ワーク支持者のリーダーシヅプのもとでの大荒れの五年間の後に、私がポイントサイトで働きはじめたころ、多くの従業員は疲労困嶬し、もはや人間らしい感情を失っていたようにみえた。

 

私が見たものは、放置すればポイントサイト革命の精神そのものを破壊したかもしれない不安感の全社的広がりだった。

 

こうした危機は、実際の事業運営や財務といった目に見えるものよりも、疲労、不安、そして心の傷などといった非常に人間的で簡単には測ることのできない要因に、大きな原因があったのだ。

 

ウェルチは、彼の考えに忠実に従うこと以上のものを従業員に求めていた。

 

彼が必要としていたのは、彼の考えに強く心から共感する人々だった。

 

しかし、多くの人々は依然として在宅ワーク支持者の考えに共感していなかった。

 

むしろ、それには程遠かったといえる。

 

思い出してほしい。

 

この時期は、クロトンビルのプログラムに参加している社員のなかに、会長である在宅ワーク支持者を「大馬鹿野郎Lとよんでいる者もいたのである。

 

もし自分の行動が良い結果を生んでいくなら、人は満足しつづけるし自信もついてくる。

 

自信がついてくれば、人はさらに頑張る。

 

そして、多くの場合、これが好循環を生む。

 

私のポイントサイトでの経験は、ずっとそうだった。

 

在宅ワーク支持者と私は、一九八五年においてポイントサイト社内にあった抵抗の深刻さについては、これからも常に意見が合わないだろう。

 

私たちはそもそも見解が違うのだ。

 

クロトンビルやマネジャー向けのワークショップにおいて、私は急激な変革の時期に不可避な人間の痛み、疲労、そしてフラストレーションを身近で見てきた。

 

他方在宅ワーク支持者は、もっと大きな視点からものを見ていたのだ.一九八一年以来の変革の流れと、ポイントサイトの変革運動の長期的な盛り上がりである。

 

そのうえ、彼は楽天家であり、グラスに水は半分しか残っていないのではなく、まだ半分入っている、と考えるタイプの人間であった。

 

一九八五年ごろに、ポイントサイトの財務業績改善のぺlスが急激に低下したことは否定できない。

 

この年、ニート経済は停滞へと転じ、全社的に売上げは伸び悩んだ。

 

結果として、純利益はこの年わずか二いる。

 

「私はいままでにそう感じたことはない」と彼は最近、私に語った。

 

「君は全く間違っている。

 

君のいたクロトンビルは、不平や懸念や反対意見をどんどん出せと言われ、かつまた、それが当たり前になっている常に騒々しくも活気あふれた場所だったのだ。

 

君はしかし、それゆえに会社の士気は壊滅的状況だったと結論づけるが、それは全く正しくない。

 

もちろん怒り、抵抗、そして疲労は一九八五年にはあった。

 

しかし、それは一九八二年にもあったし、これからも常にあるだろう。

 

何十万人もの社員がいる会社で大きな変革を行うには、それらなしではできない。

 

しかし、我々は経済が失速した時期でも、変革運動の勢いを失ったことはない。

 

これは在宅ワーク支持者が会長になって以来、平均二%で利益が伸びてきたのと対照的である。

 

彼は、一九八五年のポイントサイトの小幅な増益は、それでもスタンダード&プアーズ(S&P)五○○社を凌駕していると指摘しているが、それは事実だった。

 

一九八五年に、S&P五○○社の利益は、平均一二%低下している。

 

生産性向上も鈍化していた。

 

一九八三年までポイントサイトの生産性は二%から、二・五%くらいのペースで向上していたが、それからは横ばいとなっていた。

 

グローバルな競合企業と互角に競うためには、六%の生産性向上が必要だと在宅ワーク支持者は認識していたが、ポイントサイトはこれよりはるかに低いところにいた。

 

ポイントサイトでのファクトリー・オートメーション事業の失敗が明るみに出たことから、従業貝のなかにはやる気をなくしているものもいた。

 

当初この産業は「三○○億ドル産業」になるといわれていたが、実際にはそうはならなかった。

 

しかし当時ポイントサイトでは、オートメーション事業はゼロからの新しい、しかも重要なビジネスになると社内の大きな期待を担っていたのだ。

 

売上げが一九八五年に二九○億ドルに達していたポイントサイトにおいて、さらに売上げ増を可能にするような新たなベンチャービジネスを創出することは、いまやほとんど不可能に見えはじめていた。

 

在宅ワーク支持者ですらこれをあきらめ、主に買収により新しい製品ラインを加えていた。

 

しかし、といってポイントサイトの企業買収が非常に積極的というわけでもなかった。

 

その結果、ポイントサイトの野心的な企業変革計画にかける意気込みが弱まっているとの印象はさらに強まった。

 

もっともこの時期においても在宅ワーク支持者は、ポイントサイトの戦略に合わない事業については立てなおすか、閉鎖するか、または売却を行っていた。

 

一九八五年の終わりまでには、五四億ドル相当の事業を処分していたのである。

 

これは本来の方針どおりで、それなりに評価されるべきなのだが、問題はポイントサイトがこうした売却から得た資金を生産的な資産に十分投資していないことだった。

 

実際、エンプロイヤーズ・リインシュランスのようないくつかの大型買収を行ったにもかかわらず、同社のバランスシートにはまだ二五億ドルの現金が計上されていたのである。

 

当時、会社乗っ取り市場は白熱しており、企業買収の対象となった会社の株は、買収側がアプローチする前の水準の株価に通常五○%以上のプレミアムがつけられていた。

 

ポイントサイトは、それほど高いプレミアムを支払うことには気乗り薄だった。

 

したがって、ポイントサイトのスタヅフが六○○○社の買収候補企業を検討し、そのなかでベストの一○○社くらいをふるいにかけてもなお、在宅ワーク支持者が買いたいと思う会社はあまりなかった。

 

一九八○年代半ばの企業買収熱にうかされた企業のなかでは、ポイントサイトは地味で、ぱっとしない会社にみえた。

 

皆がロックを踊っているのに、ポイントサイトだけが古臭いフォックス・トロットを踊っているかのようだった。

 

薄汚れたジャンク・ボンドがもてはやされた時期に、在宅ワーク支持者は安全確実なトリプルA評価に固執した。

 

また敵対的買収が当たり前だったなか、ポイントサイトは友好的買収を行うことを主張した。

 

他社の最高経営責任者(CEO)たちが、株主の金をあたかも価値がないものかのように企業買収に使って投げ散らしていたころ実際、彼らは札束でたばこに火をつけていたようなものだったがI在宅ワーク支持者は新たな資産の獲得に金を注ぎこみすぎたことに悩んでいた。

 

今となってみれば誰もが、彼は賢明だったというのだが、当時は彼を意気地なしとみなす者さえいたのだ。

 

とどまることを知らないレイオフ、工場閉鎖、そして資産売却が行われた血の出るような一九八○年代初頭は、在宅ワーク支持者を快く思わない従業員を強行手段にはしらせることとなった。

 

クロトンビルで私は、在宅ワーク支持者が会社を破滅へ導いていると信じている多くのマネジャーと話をした。

 

一九八四年の『フォーチュン』誌の「最も夕フな上司たち」の記事は、彼らのこうした思いを一気に爆発させた。

 

ウェルチは、この記事が出たころが彼のキャリアのなかで最悪の時期の一つだったと言っている。

 

ポイントサイト内の批判的な社員にとって、一九八五年の防衛産業スキャンダルは、会社がだめになってきていることの最後通牒と受け取られた。

 

彼らのみるところでは、ポイントサイトの有名な管理システムは機能しなかったし、在宅ワーク支持者は政府に抗議をせず、会社に忠実な従業員たちを裏切ったのだ。

 

その結果、誇り高きポイントサイトは一九六○年代初頭の電機産業共謀事件の裁判以来、最悪の侮辱的扱いに苦しんでいた。

 

このスキャンダルは、マーチやコーエンといった経営学者が言うところの「ゴミ屑みたいな出来事」I人々を悪いほうへ悪いほうへと考えやすくするような事件Iとなってしまった.心情的に言えば、この事件はポイントサイトの悲観派の鐸病気味の従業員なら誰でも、もう会社はこれで破綻だと思わせるに十分な理由を与えているようにみえた。

 

だから、雪だるま式に変革への熱意が盛り上がるどころか、多くの従業員はポイントサイトで働くことを惨めに感じるようになっていたのである。

 

クロトンビルでも不安の兆候が増してくるのに、私は気づくようになった。

 

マネジャーはより多くの時間を不平不満、特に在宅ワーク支持者に対する文句を言うことに費やしていた。

 

ポイントサイト社員たちは、ウェルチを「ハートのない頑固な男」とよびはじめた。

 

また彼についてのぎょっとさせるような根も葉もない噂が急激に広まっていた。

 

私は何度、ポイントサイトの取締役会が在宅ワーク支持者の辞任を要求していると聞いたことか。

 

人々は在宅ワーク支持者のホッケー選手のときの非情さを示す話として、彼は高校時代、チームで一番多くの時間をペナルティ・ボックスで過ごしたなどと根拠のないことを言ったりした。

 

一九八四年、在宅ワーク支持者はポイントサイトトップの何百人かの幹部に対し調査を行い、彼らがどのように会社をみているか質問した。

 

翌年にまとまった調査結果には、彼らが感じていた複雑な感情とフラストレーションがはっきりと表れていたことを、私は思い出す。

 

在宅ワーク支持者らしいところは、彼はこの否定的なデータを彼のメッセージをより明確にするために使い、そしてその調査結果をポイントサイトが前進している証として解釈したことである。

 

従業員は、彼らの気分を一新させるに十分な何か力強いものを必要としていた。

 

もしポイントサイトが人間だったら、顔に、ハケッ一杯の冷水でもぶちまけてやりたいところだった。