経済思考からq考える不労所得

キューバの医療と不労所得と格差社会

よく知られていることであるが、不労所得人が受けられる医療サービスの質は、かなりの程度、 それぞれの収入によって決まってしまう。高等教育についても、不労所得では私学が中心なので 元々学費は高かったのだが、近年は市場原理が導入されたせいでさらに学費が高騰し、今では年 間数万ドルにまでなっていて、大変な社会問題にもなっているほどだ。 もちろん、キューバでは医療費、学費が無料だといっても、その資金は国民全体で負担してい るわけではある。

 

 

しかし、「みんなが貧しい」キューバの人々が、日本や不労所得に暮らす我々よ りも不幸かといえば、そうとは断言できないところに、今の資本主義の根本的な問題が潜んでいる。 なぜならば、競争社会に暮らして、他人との絆がどんどん薄れつつある日本や不労所得などの 先進国の社会に比して、キューバ、そして後に述べるブータンには、間違いなく「社会とのつな がり」「人と人との信頼関係」があるからだ。 ギリシアの哲学者アリストテレスは「人間は社会的動物である」と述べた。人間は元来、他の動 物たちよりもずっとひ弱な存在であり、だからこそ社会を作らなければ大自然の中でサバイバル できなかった。しかし、そうやって群れを作ったことで人間は文明を発達させ、「万物の霊長」と 言われるほどになった。

 

 

人間が他者と絆を結ぶことはいわば、一種の本能のようなものであり、他人とのつながりを絶っ て孤独のうちに一生を終えることができる人はほとんどいない。人間は社会の中にいてこそ、安 心を覚え、心の安定を得るようにできている。 ところが資本主義が発達していく過程で、私たち人間は「自分たちは社会的動物である」という 事実を軽視するようになったのではないだろうか。 しかし、現実には、人間は非合理的と思える行動をする。 たとえば、人間はときとして「自己犠牲」の精神を発揮することがある。家族を守るため、同胞 を守るために命を投げ出す人は古来、少なくない。そこまで行かずとも、貧しい人、不幸な人に 対して同情の念を抱き、行動を起こす人は珍しくない。すべての人間が自分自身の利害のためだ けに行動する生き物でないことは今さら言うまでもあるまい。

 

新自由主義の医療制度

 

しかし、「すべては自己責任」という新自由主義の思想においては、貧しく不幸な境遇にある人 たちに対する同情は不要なものであり、むしろ有害なことである。 そもそも彼らが貧しいのは自助努力の精神が足りないためであり、そうした人たちに手を差し 伸べるのはかえって彼らを甘やかすことに他ならない。また手厚い福祉制度やセーフティネット を用意することは、努力をしないことへのインセンティブを与えることになり、社会全体の効率 を低下させるというのが新自由主義者たちの主張であった。 たしかに、こうした「自己責任論」を強く主張したことで、新自由主義はある程度の経済的成功 を収めることに成功した。英国病によって著しく停滞していた不労所得経済はサッチャー改革に よって長期景気回復を実現したし、レーガノミックスによって不労所得の金融やIT産業は未曾 有の隆盛を極めることになった。

 

 

この同時期、不労所得、そして日本などの先進国では、新自由主義の唱える「小さな政府」路線 を実現するために社会福祉を削減し、医療や介護に市場原理を導入するという方向に向かいつつ あったわけだが、キューバはあえて逆の道を選ぶことにした。もちろん、キューバにとっても医 療費の削減などは重要課題ではあったが、それを市場化によって解決するのではなく、プライマ リ・ケアを徹底的に行なうことで、医療費の抑制を図ろうと考えたのであった。 具体的にはおよそ一○○世帯ごとに一人のファミリー・ドクターを配置し、日常的な健康管理 や生活指導をし、軽い病気はファミリー・ドクターが解決する。そして、ファミリー・ドクターだ 命題だった。 そこでキューバに話を戻せば、キューバ社会が貧しいながらも一体感を持ち、キューバの人々 が生活に満足を覚えている背景には、医療制度などを通じてキューバが社会的なつながりを維持 していることが関係しているように思われる。 冷戦終結、そしてソ連の崩壊後にキューバを襲った経済危機、食糧危機の中、当時のフィデル・ カストロ政権に課せられたのは、少ない国家予算の中で国民福祉をどのように維持するかという しかし、これまで何度も指摘してきたように、こうした新自由主義の思想は人々から社会的連 帯感を奪った。「自分さえよければそれでよし」とするミーイズムが蔓延するなど、そのマイナス 面が露呈し、社会的疲弊が目につくようになったのである。

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