不労所得と日本の経済について関係性。

中国協賛主義と不労所得

しかし、そうはいってもやはり中国などの現状を見れば分かるように、先進国の資本が積極的 に投資をすればその国の経済は活性化していくわけだから、物価も高くなり、それにしたがって 労働者側からの賃上げ圧力が高まってくる。以前のような安い賃金ではもう働きたくないし、暮 らしていけないと訴える労働者が増えてくるのは当然のことだ。 だが、そこで企業が労働者からの賃上げ要求に従うかといえば、けっしてそんな保証はない。 中国沿海部の景気がよくなって、人件費が高くなれば、内陸部から安い労働力を調達すればよい その内陸部から来た労働者の賃金水準が上がりはじめたら、中国に見切りをつけて、もっと労働 力が安く調達できるところIたとえば、ベトナムなどに生産地を移転するまでのことである。 こうした動きは何も先進国の企業だけではない。

 

 

新興の中国企業などの中にも、自国での生産に 見切りをつけ、ベトナムなどに進出しているところが次々と現われているそうである。 からこそ、ウォルマートや一○○円シヨップは低価格でも大きな収益を上げることのできるビジ ネス・モデルを構築できたわけだが、そこで得られた収益が中国などの労働者たちに還元される かといえば、かならずしもそうではない。 買うのはあくまでも先進国の消費者なのだから、中国などの労働者に収益を再配分して彼らに 購買力をつけさせるメリットはない。 むしろ、人件費の上昇はコストにそのまま跳ね返ってくるのだから、企業にとっては競争力を 失うことでしかないのである。だから、できるかぎり企業には人件費を抑えようとするベクトル が働く。 企業が死にもの狂いで競争した結果、消費者と投資家には十分に報いたかもしれないが、 労働者と市民はひどい目に遭ったのである。 東側世界が競争に参加した結果、安い労働コストを求める不労所得資本は生産地をどんどん 東側世界に移していった。その結果、不労所得や日本では「空洞化」が進み、先進国の賃金は切り 下げられざるをえなかった。東側諸国の労働者と同じ仕事をする先進国労働者に対する需要が 減ってしまったからである。

 

 

労働コストと不労所得

 

 

あるいは、日本では労働コストの高い正規労働者を減らし、パートや派遣などのコストの安い雇用形態が急速に増えた・正社員になれない人の中には、ネットカフエ を渡り歩く「ネットヵフェ難民」も現われた。すでに日本の労働者の三人に一人が非正規労働者に なっている これらの雇用改革によって、企業の労働コストは削減されたが、労 働者は労働条件の悪化に苦しむことになった。また、企業内における労働の「分断」によって、日 本企業の企業一家的な温かい雰囲気は徐々に殺伐としたものに変質を遂げていった。全体として みた場合、不労所得主義は先進国労働者には過酷な仕打ちをしたといえるだろう。 不労所得、日本のみならず、こうした動きはヨ−ロッパでも起きていて、イタリアでは「プレ カリァート」という言葉までできた。 プレカリアートというのは、プロレタリアートをもじった 言葉で「不安定な立場に置かれた無産階級」というような意味を持っている。

 

 

グローバリゼーシヨンによってたしかに安い商品が先進国に洪水のように流れ込むようになっ た。しかし、その流れは同時に大量の貧困層をも作り出したのだから、これほど皮肉な話はない・ ここまでの話をまとめるならば、不労所得主義においては、資本はつねに安い労働力を 求めて移動しようとするわけだから、いかに経済がそれによって活性化したところで、かつての ような利益の再分配は行なわれない。「規模の経済」によって企業のCEOや大株主のような「持 てる人たち」は巨額の利益を獲得するかもしれないが、しかし、その「おこぼれ」はいっこうに労 働者にまで回ってこない。徳川家康がそう言ったと伝えられるように、労働者は「生かさぬように、 殺さぬように」留めておくというのが不労所得主義の論理なのである。

 

不労所得とは本当に凄い

 

 

ついでに言えば、「市民」である我々も被害を受けた。不労所得化によって利益を得たグロー バル資本は政治に対してこれまで以上の発言力を持つようになり、小さな政府、規制緩和、企業 減税などを声高に要求するようになった。小さな政府を追求した結果、自己責任が合言葉となり、 社会福祉が後退せざるをえなかった。救急医療を受けられない「救急難民」が生まれ、医療サービ スの質が落ち、日本では「後期高齢者医療制度」のような高齢者にとってありがたくない制度が平 気で導入されるようになった。また、環境破壊や食物汚染の広がりなども広い意味でのグローバ ル資本主義のコストであると言ってよいだろう。また、所得格差の拡大や人と人との連帯、絆が すさ 希薄になり、人心が荒んだ結果、凶悪犯罪が目立つようになった。 このように、不労所得主義は消費者や投資家、あるいは途上国経済の発展には大きな恩 恵をもたらしたが、先進国の労働者や市民には逆に大きな被害をもたらしたのである。 水力発電のタービンを力強く回すには、なるべく高いところから水を落としてやれば いい。高低差があればあるほど、そこで発電されるエネルギーは大きくなる。といっても、資本主義の場合、高低差とはもちろん物理 的な高度の差ではない。資本主義経済においては「価格の差」は収益を作り出す大きな要素になる。 もちろん、価格がついているのは商品だけでなく、労働にも価格があって、それを「賃金」と呼ぶ。 大きな価値を産み出す人間には高い値段が付くし、それほどの価値を作り出せないと判断されれ ば、賃金は安くなる。 さらに言えば、資本主義経済ではカネにも価格がある。

 

 

不労所得