アメリカの富裕層と日本の貧乏所得

アメリカの自由社会と不労所得

先生方の深い学識、洞察力にはこれ以上はないという知的刺激を受けた。また、同講座に受
講生を派遣しつづけてくださった派遣元企業のサポートにお礼申し上げたい。これまで七年間、
一七五名を数えるおおむね四○歳代の「若き」受講生の皆さんからも「知の格闘」を通じて大いなる
刺激を受けることができた。記して感謝申し上げたい。
最後に、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社、および、多摩大学は筆者に素晴ら
しい研究環境を与えてくださった。三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社主任研究員
の塚田裕昭氏にはデータの整理、発掘の面で大いに助けていただいた。また、同社秘書の山本美
津子氏には筆者が本書の執筆に集中できるようにさまざまな配慮をしていただいた。

 

さまざまな形で筆者を支えてくれた家族や友人たちも含め、これらすべての方々に深甚なる謝
意を表したいと思う。

 

これだけの大変動に直面しながらも、多くの経済学者,ことにアメリカの経済学者たち
は「これは大変な激動ではあるかもしれないが、しょせんは資本主義経済の自律的な調整のプロ
セスである」と考えて、国境を超えて資本やモノが自由に移動するという、新自由主義やグロー
バル資本主義の枠組みそのものは今後も続くと楽観的に考えているようだ。
しかし、筆者はそのような楽天的な考えを持っていない。
なぜなら世界経済をこれまでダイナミックに拡大させてきたグローバル資本主義には、本質的
しょほうせん
と思われる欠陥が数多く内包されており、それらに対する適切な処方菱が示されない限り、その
ままの形で再生することはけっして好ましいことではないと考えるからである。
グローバル資本主義の本質的欠陥とは、ざっと挙げるだけでも次のようなものがある。
現在、地球上で起きているさまざまな問題のすべてをグローバル資本主義のせいにすることは
三二一

 

世界金融経済の大きな不安定要素となる

 

酷かもしれないが、国境を超えて自由に経済資源が移動できるような世界がベストだというグ
ローバル資本主義の基本哲学の正当性は再検証されるべき運命にあるのではないか。
今回の金融不安は、まさにその本質的な欠陥や問題の一部を露呈したものに他ならないし、現
在も深刻さを増しつつある環境汚染、食品汚染、格差拡大などを考えると、グローバル資本主義
にはかなり大きな修正が不可避になるはずである。もっと強く言うことを許していただけるなら、
「アメリカ主導のグローバル資本主義は自壊しはじめた」というのが筆者の認識なのである。
これまでアメリカ系金融資本は、まさに「この世の春」を証歌してきた。その巨大な影響力を用
いることで、アメリカの金融資本はグローバルに規制緩和を推進し、国境を超えた資金移動を自
せいちと由化し、ITを駆使して精綴な金融商品を次々と産み出して、巨利を得てきた。

 

不労所得